第六章 内閣

第七十五条

  • 行政権は、法律の定めるところにより、内閣が行う。

第七十六条

  • 内閣は、法律の定めるところにより、その長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織する。
  • 武官は、国務大臣たることはできない。

第七十七条

  • 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決により指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって行う。
  • 参議院と衆議院で異なった議決をしたときは、法律の定めるところにより、衆議院の議決を国会の指名とする。
  • 参議院で十日以内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の指名とする。

第七十八条

  • 内閣総理大臣は、国務大臣を任免する。ただし、その過半数は、国会議員の中から選ばなければならない。

第七十九条

  • 内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したとき、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
  • 内閣は、内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったとき、総辞職をしなければならない。
  • 内閣が総辞職されたとき、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。

第八十条

  • 内閣は、法律及び予算を誠実に執行して国務を総理し、法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理する。

第八十一条

  • 内閣は、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定する。ただし、政令には、その法律の委任がある場合を除いて、罰則を設けることができない。

第八十二条

  • 内閣は、外交を行い、条約を締結する。ただし、条約は、事前に、時宣によっては事後に、国会の承認を得なければならない。

第八十三条

  • 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

第八十四条

  • 内閣総理大臣及び国務大臣は、その在任中、国会の承認を得なければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は、害されない。

第八十五条

  • 地方行政の組織及び運営に関する事項は、法律の定めるところによる。

第八十六条

  • 地方行政には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
  • 地方行政の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方共同体に居住する成年の国民が、直接選定する。

第八十七条

  • 地方共同体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

解説

  • 帝国憲法には内閣に関わる条項が無いため、現行憲法を基本に構築すると共に、地方自治に関する条項も行政権の一部として取り入れました。
  • 内閣に関わる条項は他の章にも広く明記されているため、極力他の条項と被らないように配慮しています。
  • 地方行政においては細かな規定をしていません。

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